映画「かづゑ的」をやっと観ることができた。
感想は書かない。感じ方はそれぞれ違うから。
ただ、あまりにも「知らない」自分に驚いた。
こういう風に「知らなくても生きられる」「ちょっと蓋をしてしまっている」様なことは多く
こんなに近くにあるあの場所について、なんとなくぼやっとしか知らないというのは
私の知識不足と「知らせないままで良い」という教育もあるのかな?と思った。

全てをちゃんと伝えたいということで、
全部をさらけ出した姿。その言葉、隅々まで忘れずに言葉も持って帰ろうと
必死でスクリーンに向き合う。

終盤で唱歌「故郷」についての彼女(だけではなく多くの患者さんもそう思うのでは)の
思いを聞いた。普段から私もその曲については「いい曲」だとは思うけれど
演奏する場所をわきまえないといけないと思っている。

以前、ある大きな高齢者施設に合唱で訪問した時に、私は指揮者であってもその機会については
発言の自由さえなく、言えなかったけれど
そこにいる人と同じ位の年齢の人たちがドレスを着て歌い、最後に「故郷」を超絶遅いテンポで
感極まって歌ったあと、私たちが帰った後の施設の人たちやスタッフのことを考えると
なんとも切ない気持ちになった。

そこで「これは歌わん方がいいんじゃないですか?」と言えなかった。
そしてそこへ訪問演奏へ行くということで感動している団員にも一言も言えなかったこと。
それを思い出して「これからはおかしいと思うことは絶対に口にだす」あるいは
「そういうのが言えない雰囲気の場所ならそこにいることをやめよう」と強く思っています。


過去の音楽コラムにはそのことを書いています。
ただ、誤解しないでほしいのはその曲は名曲であります。好きなひとが多いのも事実。
歌ってはならないというわけではなく
場所を考える必要があるということと、想像力は大事だということ。
私の講座でも1年に一度位は歌う講座もあります😁
唱歌や童謡は勘弁してほしい、と言われることももちろんあります。
ぐんと懐かしい歌を歌う会と
もうちょっとだけ若めのその人にとっての懐かしい歌(その人の青春時代の歌など)
を歌う会は分けています。
もちろん古き良き歌も大事に。でも、それぞれ好みが違うのでいろんな種類の講座を
取り揃えているのです。



この記事を書いた人

吉井 江里

岡山市で活動している吉井江里です♪合唱指揮、ピアノを弾きながらの歌の講座や合唱指導、講演やライブ等の活動中。2015年3月18日完成の映画「見えないから見えたもの」(盲目の教師、竹内昌彦先生の映画)挿入歌「点字のラブレター」や「ワルツ」を作曲。