【音楽コラム】競うことは上達の近道

年に3回から4回ほど試験でピアノを弾くことがあった高校時代。
要するに一年に3曲は試験用にみっちりレッスンを受け
弾き込んで暗譜して
そして試験官の前で弾く。
舞台で弾くのとはまた違った緊張感がある。

試験が終わってから先生に次の新しい曲をいただく。
正確には新曲をもらう、というような表現だったと思うけれど
「いったい次は何を弾かせてもらえるのかな〜」とワクワクする。
そうやって決めてもらった曲が何度か同級生と同じだった。
なんとなく嫌な気持ちと、負けたくないという気持ちがある。

しかし、やっぱり「あの人より上手に弾きたい」と思うので
練習にも熱が入る。よって双方が伸びる。
その時のその試験曲が同じなのはクラス内で二人だけだったが
コンクールや受験の曲の場合は同じクラスで何人かが同じ曲を練習している。

ピアノが至る所にあるので誰かが弾くと耳に入る。
自分より進んでいる気がして焦る。「人の演奏が妙に上手に聞こえる」のである。
そしてもっと怖いのが
「試験やコンクールの時に自分より前の人が弾いているのがこれまたとても上手に聴こえ
とても焦ってしまう」ということ。
それは同じ曲を弾いていなくてもそう思ってしまう。

そして、前の人が「大きなミスをした」のを聞くと
これまた気が動転してしまう。
関係ないのに。自分には。

舞台でも袖で前の演目や合唱祭なら前の団体が演奏しているのを聴くと
わけがわからなくなってしまうことがある。
自分の曲はえっとどこの鍵盤からで♭がいくつだったかしら〜と
突然わからなくなってしまうようなこともある。
それでもしっかり練習を重ねていれば大丈夫なこともあるし
砕け散ってしまうこともある。

楽しければいいのかもしれないけれど
上手になりたい!って気持ちは大事で、
上達すれば先にもっともっと難しいものの出現して
それとまた向き合って努力すると充実する。
ちょっとだけライバルの存在があるといいかもしれない。

ほどよく競う相手がいるといいですね。

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