歌の講座で「今度総合病院でコンサートをするから聴きにいらしてね」と話したところ
ある方がその会の終了後にそっと話しかけてこられました。
「主人が入院していたときにロビーでコンサートがあり
車椅子を押して聴きにいったのね。いい演奏だったけど
ある曲を聴いたら泣きだして、そのあとしばらく大変でした。
先生も選曲には気をつけて」
ああ。その気持ちわかります。
感動の涙もあるけれどもうここから出られないかもしれない
自分の家には帰れないかもしれない、と思う涙もあります。
その曲名を聴いたとき
やっぱりわたしもその曲は選ばないようにしているので伝えました。
「実はね、以前に高齢者の施設に行くことがあってそこの方に選曲についてお聞きしたら
やっぱりその曲は避けてほしい、とおっしゃっるの。
なんとなくわたしたちの間ではその曲は使わないようにしています。
やっぱり現場の声は大事ですから」と答えた。
その曲を聴くと認知症の方も泣きだしたり
落ち込んだりして立ち直るのに時間がかかるので遠慮したい、とよそでも聞きました。
でも言えない場合もあるようですね。
「耳になじんでいて、誰もが知っている曲」なのでよかれと思って演奏されるのですから。
生まれ育った家を思い出したり
望郷の想いを感じる歌は場所とケースによっては
あまり歌わない方がいいのかもしれません。
そういう曲はいくつかあります。
わたしは個人的に会の最後には気分をアップさせてくれるような
帰ってから鼻歌が出るような歌を選ぶようにしています。
もちろん病院コンサートでもそのようにしています。
歌でそこまで影響があるの?
と思われるかもしれませんが
施設や病院では患者さんもそのご家族も通常の生活をしている人とは違った想いをされていると思うので
そういう方の声は貴重な意見で、参考にしたいです。
介護の現場などへお邪魔するときはこれらを参考にしています。
講座ではこちら↓ この本はすごくいいです。楽しい!
「介護」とか「高齢者」というワードは出さないようにしています。
「自分より少し年上の方達」と思って接するように気をつける。
子供っぽくせず自分でアレンジして伝え方は今自分が受ける側になったときにも大丈夫なようにする。
これは大事なことだと思う。とても。