【音楽コラム】シニアと音楽「歌は認知症の予防に効果がある?」

歌は認知症の予防に効果があるというのは本当?

合唱や歌の講座を長く担当していて気がつくこと。

笑顔が少なくなった。表情が乏しくなった。
本のどのページを出して歌えばいいのかわからなくなったりするようなことがある。
聴力の低下で次は何を歌うかがよく聴こえないでページが探せないことも。

帰りにランチに行っても食事をしながら喋るということができないで
黙ったままでコミュニケーションがとれない。

特にコロナ禍においてはこういった会話の機会が失われていますね。
実は大事な食事と会話。

次の歌のページをついうっかり聴き逃した、というのだったらいいのですが
いつも曲を探せなくなっている、という症状が出てくることが続くような人がいることも感じている。

それでも前奏やメロディーが流れたら「ああ、あの曲ね」と口ずさみながら
ページを探せるといいし、本を見なくても別にいいと思っている。
それもしないでずっと探し続けている、というときちょっと心配になる。
ページをめくり続けるようなことが続くことがあるのは要注意だ。

歌は脳トレになる?

歌を歌う事は心の健康のためにも脳トレにも効果的であると思う。
誤えんを防ぐトレーニングにも最適。それは確信している。

しかし最近中高年の歌の講座を担当していて感じるのは

「懐かしく、あまり考えなくても、楽譜を見なくても歌えるここちよい歌が続くと
ちょっと様子がおかしくなることがある」のだ。

なつかしい歌には癒され、心が和むのだが
眠たくなってしまったり、頭がぼんやりするような現象が少し起る。
睡眠不足だけが原因ではなさそうだ。
ぬるいお湯に浸かって気持ちよく、そのうちにうたたねしてしまうような感じで。

居眠りは気持ちがよく、悪いことではないが、それが続くと問題である。

歌うだけでなく工夫をしてみる

歌と歌との間に話を挟んで
まわりの方とそれについて少し顔を見合わせて声を出して何か言えるような時間を作ったり
知らない歌を挟み込んだりする。

体を動かしてみるようなことを途中に入れる。
(しかし、指導するときは気をつけないといけません。
「子供のような扱い」はしてはいけないのです。このあたりはまた詳しく)

たとえば、童謡や唱歌の本の中には、ほとんど全員の方がご存知のものと
なんとなく聴いたことはあるけど歌ったことはないとか
ほとんど知らない歌も載っている。
そういう歌や、最近テレビでよく流れていて聴いた事があるけど
あまり歌った事がないような歌を新しく譜読みします

知らない歌を譜読みするときはみなさん一生懸命で、
居眠りをする人はほとんどいない。
しかし、その作業も長すぎるのは考えもの。
長すぎると「もう限界」というサインのあと、諦めが見える。
様子を見ながら長くなりすぎないようにする工夫はもちろん必要。

何事もさじ加減が重要。声を聴き、表情を見ながら調整していく。
指導する人は皆の状態をよく見ながら臨機応変な対応が必要となる。


たまにはリクエスト大会はいかが?
紙に書いてもらう、問いかけて口頭で言ってもらうなどで。
数人のグループをつくって相談してもらうのもよいです。

ようするに
少し脳を使うようなことを加えて歌っていったらいいのかもしれない。
家でなんとなくテレビを見ながら過ごしている時間とは違う刺激が必要です。

リズムに合わせて手を打ったり、軽い振り付けで(子供っぽいお遊戯にならないように)
達成感を感じてもらう努力も必要である。

おすすめは「弾き語り」好きな歌を楽器とともに

ピアノの弾き語り。難しくしようと思えばいくらでも難しくできるけれど
シンプルなコードや単音をいくつか鳴らすだけでも歌いながらが実現できます。
また、おすすめはウクレレ。
曲の全部のコードを弾くことはありません。
歌に合わせて間にポロロン〜と鳴らすだけで結構様になります。
何よりウクレレの音は心地よいです。

歌うだけではなく、楽器での弾き語りができたら嬉しさ倍増ですし、
これこそ最高の脳トレであると言えます。

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