昭和42年に発刊された「女声唱歌」の中には近藤朔風(さくふう)の訳詞による【美し夢】(うましゆめ)は「シューベルトの子守歌」として現在では「眠れ 眠れ 母の腕に・・・」の歌詞で歌われることが多い。
この曲はシューベルトが19歳の時にクラディウスの歌詞に作曲したもの。
近藤朔風の歌詞は以下の通りで、難しい読みは隣にひらがなで記す
1、眠れ眠れ、可愛し縁子(めぐしわくご)
母君に 抱かれつ
ここちよき、歌声に
むすばずや、美し夢。(うましゆめ)
2、眠れ眠れ、慈愛あつき (めぐみあつき)
母君の、袖のうち
夜もすがら月さえて
3、眠れ眠れ、疾く眠りて(とくねむりて)
朝まだき、覚めてみよ
麗しき百合の花、
微笑まん、枕もと
歌詞の意味として難しいものは
縁子 わくご の意味は幼い子
朝まだき 夜の明け切らぬ頃
この「女声唱歌」の中には女学生向きの詩が多く、「野なかの薔薇」や「ローレライ」が入っていたそう。
令和の天皇が赤ちゃんだった頃にそのお母さんである美智子様が両親の写真とこの子守唄を歌って
テープに残して渡米されて話題になったそうです。
この訳詞をした近藤朔風は1880年生まれ。1915年没。
東京外国語学校において独、英、伊語を学び、かつ東音専科で声楽を研究。芸術歌曲の文芸的な訳詞を多数残しました。
オルガンで伴奏を弾いています。歌詞が入っているのでどうぞ一緒に歌ってください。
明治時代、大正時代に活躍した人の多くが、こうして生まれた年や没年を調べるたびに、なんと短い人生だったのだろう、と思います。