合唱を指揮するとき、ピアノを弾くとき、歌うとき。時々自分のテンポ感が「イライラ」していたり、「モタ〜」っと遅くなったりする。それは録音を聞けばよくわかる。そういう時はニュートラルに戻すという作業をする。秒針と同じように60のカウントで(メトロノームなど)しばらくそれを聞いていたり見ていたり、手を打ったり、振ったりして元に戻す作業を行う。
指揮の先生から教えていただいた。私も指揮の指導をするときに学生に伝える。
思えば受験生の時は毎日メトロノームでベートーヴェンのソナタを遅いテンポで弾き、だんだん上げていくようなことをやっていた。受験で東京の立川の先輩の家で借りたピアノでも受験の日の前まで。先輩は「正確なピアノだね」と言われた。それは褒め言葉ではないことはわかっていた。
でも、受験は正確に、そして慌てずに演奏するしかなかった。破綻しないように。

仕事の現場で一緒に演奏する場合、合わない人がたまにいる。なんとなくリズム感とかテンポ感が合わない。お互いが擦り寄ることもなく、「ああ歌いにくい・振りにくい・弾きにくい」と思った時、それを伝えようとするけれど、そもそも仕事の現場でそれができない場合はどうしようもないことなので伝えるのは難しい。そうかと思うとやっている間にすごく合って、心地よい、ああこのまま止めないで!と思うほどの場合もある。
どんなに歌いやすく合わせてあげても、それが過ぎるとどんどん遅くなってしまったりするようなこともあるので本当に難しいのだ。しかし、ピタッと合った時の気持ちの高揚感がたまらないし、本番まで上手くいかなくても何度か合わせることで息が合ってくると最高なのです。
練習の経過では辛くても、そういう「息が合う」感じを経験したらやっぱりやめられないわけで、今年はアンサンブルしたいな、と思います。
そのために自分の練習を淡々とやって、技術を保つ、技術を伸ばすことをしたい。年齢が高くなったら高いなりにいい演奏ができるように。
私は伴奏が好きです。心から。

この記事を書いた人

吉井 江里

岡山市で活動している吉井江里です♪合唱指揮、ピアノを弾きながらの歌の講座や合唱指導、講演やライブ等の活動中。2015年3月18日完成の映画「見えないから見えたもの」(盲目の教師、竹内昌彦先生の映画)挿入歌「点字のラブレター」や「ワルツ」を作曲。