【音楽コラム】楽器や歌の練習における音の問題について

「楽器や歌の練習における音の問題について」
自宅での練習などには音の問題がつきまといますので工夫が必要となってきます。

大きな音で聴きたい

昨年の初夏から「歌わない」で講座を実施。
歌が少なめで座学が多い講座を現在は実施しています。
講座案内

black transistor radio in the middle of the field

それはその場所ではまだ歌うことに許可が降りていない場合や感染者が多く、受講されるかたも不安が多いことを考えてのことです。
参考に音源や私の演奏、歌を聴いてもらいます。音源をBOSEのBluetoothスピーカーで流して楽しむ。

実験してみたところ、学校の体育館ぐらいのところでも迫力あるサウンドで楽しむことができるBOSEのブルートゥーススピーカー。
ラヴェルのボレロなどを流してリズムに合わせて動いてみるようなことも。楽器の説明とその音の確認もできますね。

多くの方が仰るのは「家では大きな音で音楽を楽しめないので今日大きな音で聴かせてもらって本当に嬉しかった」という感想です。

自宅ではそれぞれどうしていますか?


歌だって大きな声で家で歌える環境にある人は実は少ないと思います。それは近所迷惑ということだけではなく、家族にいい顔をされない場合もあります。
それから自分の歌を人に聞かれるのが恥ずかしい場合もあるとお聞きしています。

幼い頃から家族ぐるみで付き合いのあった友人の家ではピアノも習い、ステレオもあるのですが「お父さんが音楽が嫌いでお父さんがいる間は練習はできないし音楽も聞けない」ということを言ってました。
時々Twitterで作編曲家であり演奏家の三宅純さん(リオのオリンピック閉会式の君が代のアレンジ担当の方)のことを書くと、ご本人がリツイートやお返事をくださるのですが、あのかたも「情熱大陸」の中でお父さんが音にとても厳しい人であり、食事のちょっとした何か置くような時の音でも注意があったと話されていました。とても騒がしい音楽などは自宅でお父さんのいらっしゃるときには流すことができなかったことでしょう。

それぞれの音出し環境について

ある声楽家のお家では田舎に住んでいて周りに家があまりないのにもかかわらず防音していない状態での歌の練習はできない、近所中に響き渡るとのことで防音室を作ったそうです。田んぼや畑が広がり、お隣の家はかなり離れているのにも関わらずです。声は、それもソプラノの声は非常に遠くまで届くのですね。

他にもオカリナの練習をしていたら思っていたより遠くに聞こえていて近所の人に文句を言われた、とか。

「音」についてはそれぞれに悩みますね。
私も幼い頃から学生時代はずっと「長時間思い切り音を出すことができない」環境でした。時間をきちんと決めて近所にも断りを入れての練習で、高校生の時は一時間早めに学校に行き、練習させてもらっていました。ここ34年ほどは防音した部屋で。それでも完全ではないので夜間は21時までと決めています。それを過ぎたら本気で鳴らすピアノや大きな声で歌うのはやめています。

学生の時は20時までしか練習できない家に住んでいたので、学校にある古くて音が筒抜けの古い練習室を借りたり、バンドの練習は二十四時間どんなに音を出してもいいスタジオで行っていました。

管楽器専攻の学生は大学の構内で音を鳴らしていました。それが音大の日常で、今でも懐かしいです。アパートなどでトランペットを鳴らすのはとても難しいですね。
河原などで吹くという場合もあるそうです。
もちろん、学内の中でも音を出せるところはあるので管楽器の学生はある建物に入り浸っていて楽しそうでした。食堂も遅くまで開いていて充実していたような思い出があります。もうかなり前なので記憶は曖昧ですけれど。

また、都会に住んでいるピアニストがリサイタル終了後にわが家に練習に来られた時、自宅では思い切りは弾けず、あちこち借り回っているんです、と言われていました。その頃はまだアビテックスなどもなかったので。
リサイタルが終わったら打ち上げかと思っていましたが、「これが終わったらまた次がどんどんあって、曲が違うので・・・・」と言われ、あるときは「隣の電子ピアノでオケパートを弾いてください」と言われ、初見でモーツァルトのピアノ協奏曲のオケ部分を一緒に弾いたことがありますが、貴重な経験になりました。できないところは「口三味線」で応戦です♪

実は「いつでも練習できる。大きな音が出せる」環境にない場合の方が「練習したい!」という情熱が溢れてきたりします


今は二十四時間練習可能なマンションなどもかなりできていますね。
それから最近では「音泊」と言って、泊まるお部屋が音出し可能で、とても素敵なお部屋。そしてそこで配信や動画撮影もできるとのことで、今度機会があったら(コロナ終わって)ぜひそこで色々してみたいです。(今ひょっとしたら厳しいかもしれないのですがそれまで何とか持ち堪えて欲しい)

しかし人間というのはおかしなもので「いつでも練習できる」と思うと案外できなくて、限られていると「ああ、練習したいもっともっと〜〜」と思うものだったりします。

私も今と違って子供たちが小さかった時は自分の時間が取れないので5時に起きて練習時間を確保していました。

やっぱり「自由な時間が少ない」ほど「弾きたい!」となるような気がします。
大きな音が出せない、声が出せない、とよりその思いが大きくなりますね。

音や声を出さなくてもできる練習方法もありますのでお伝えします。お楽しみに。
ささやくように歌っていただいても効果はありますよ。
(ささやくように=sottovoceです。)

ちなみに ささやく の漢字は「く」なるほど〜 声がそっと小さいので耳が寄ってきていますね。三つも。
この漢字は「水色のワルツ」に「つつんだ囁き」という言葉が出てくるときに使われています。「水色のワルツ」も大好きです♡♡

a bride and groom kiss in the rain under an umbrella
Photo by Joel Overbeck on Unsplash


【音楽コラム】最近の投稿