【音楽コラム】秋はピアノ ショパンを聴いて想う♪心にダイレクトに泌みる音楽

Bluetoothのワイヤレスのヘッドフォン(骨伝導)を買ってから夜遅くに、音の心配や耳の心配なく
音楽を楽しんでいる。もちろん、映画を観る時も。
プレイリストの中にある曲(自分で選んでタイトルをつけて分けてある)は何度も聴いていると少し飽きてくるので数多くあるサブスクの曲から「あなたへのおすすめ」の曲を選んでみる。

秋はピアノの音が心に沁みる。あまたの曲の中から私が選ぶのはやっぱりショパンになる。
「最近はほとんど聴いてなかった」曲もあって、久しぶりの曲と再会してみる。

先生との思い出が突然蘇った ショパン作曲 ソナタ第2番変ロ短調

葬送行進曲をご存知であろうか?「ターンタータ ターンタータ タータタータター」とさっと口にできるあの曲が入ったソナタ第2番。
変ロ短調というのはフラットが5つついている。
構成としては第1楽章から4楽章まであり、有名な葬送行進曲は第3楽章。1839年の作曲とされているが葬送行進曲だけはもう少し前にできていたらしい。

この曲の冒頭の部分。最初のほんの少しの暗く重たい序奏のあと、追い立てられるような、しかも弾いているととても気分が揚ってくる主題が始まる。そのあと突然とても想像もつかなかったようなdur(長調)のおだやかでまろやかな和音とメロディーがやってくる。ここも弾いていて気持ち良い。気持ち良いけど心が揺さぶられる。そして激しくもっと激しく揺さぶられて、また追い立てられていく・・・・・

自分がこの曲を練習しているときは一生懸命で、キャンバスの絵を近くで必死で完成に近付くべく塗りたくっているような感じ。そして時に離れてみてはまた塗り直したり・・・・
そしてそういう練習の時を過ぎて、何十年かしてこうして離れたところからゆっくり鑑賞してみると、若い頃にわからなかったことがくっきりと浮き上がってくる。

そして、2楽章へと進む。

ある会でゲストとして私の先生がピアノソロを引き受けてくださった。
その時にこのソナタから弾いてくださるということで、舞台でのリハーサルを客席で聴いていた。
「ねえ、えりちゃん、1楽章だけにしようか?それとも2楽章も弾いた方がいいかな?」と質問された。
「私は1楽章からすぐに2楽章へ進むのが好きなのですが、この曲を聴き慣れていない他の人はどうでしょうかね」という返答をした。リハーサルの演奏はエネルギッシュだった。いつもの先生の様子とは違う。演奏はダイナミックでくっきりとしている。わたしのような曖昧さはない。それは充分な練習と楽曲分析による自信のようなものを感じた。先生のその時の音は私の脳の中にまだある。

先生は結局本番ではこのソナタの1楽章だけとラヴェルの曲を一曲演奏した。

ショパンの葬送


「葬送」というと、ショパンの葬儀の話が興味深い。
パリのマドレーヌ寺院で行われることになっていたショパンの葬儀は非常に凝ったものとなったため準備に時間が必要でほぼ二週間ほど後に行われることになった。招待された参列者には多くのフランスの文学者や貴族の名士らが名を連ねたが音楽の仲間たちは慎重に外されるようなことだったそう。
葬儀ではモーツァルトの「レクイエム」が歌われることになった。急遽決められたそうだが、一説によると「ショパンの遺言」と言われているが、友人たちはショパンがそんなことを言ってたわけではなかったと話していたとか。
モーツァルトの「レクイエム」は混声合唱で、女声だけで歌う部分もある。当時マドレーヌ寺院では女性が合唱隊に入ることを許していなかったそうだが、この時は女声をベルベッドのカーテンの奥におくことを許可したと言われている。男声だけでは歌えない曲である。

ショパンの葬送の時にはこのソナタ(第2番変ロ短調)の第3楽章「葬送行進曲」も演奏されたが、ピアノではなく管弦楽に編曲されたものが演奏されたと言われる。

第四楽章の両手の動きは風が吹き抜けるよう

他の楽章との圧倒的な違いは速度と、左右がユニゾンであるということ。メロディーに和音がついているというようなかたちではない。あきらかに他の楽章とは違う。
ショパン自身はこの楽章を「両手がおしゃべりをする」と表現しているらしいが、ざわざわと胸騒ぎがするようなこのおしゃべりの内容は何だろうか?と思いを巡らせて聴いてみる。
あっという間に終わる短い楽章だが無性に寂しさとか後悔の気持ちが流れていくような、そんな感じに私には聴こえてくる。
ちなみにこの4楽章は弾く方は手を動かすのに必死。数人が顔をしかめて何かをしゃべっていて、端からそのささやきというかしゃべりというのを聴いている感じもする。左手の動きをよく練習しないとなかなか右手についていけないけど、左手に右が寄り添ってあげるようにすると案外うまくいくかもしれない。

同じ曲でも演奏者によって解釈も演奏も違う。クラシックの魅力は「同じ楽譜をアレンジすることなく正しく弾く」ことが第一の基本。それでも弾く人によってまったく違ったものになる。
音だって、同じピアノで弾いても全然違った音色が出る。
それが聴き分けられるかどうか、それはその人のそれまでの感性が試されることでもあるのだけど
もし今までできなくても今からでも聴き方もより充実したものになる。
とても奥の深い「鑑賞」どうぞ秋からスタートしてみてください。

流して聞くだけでももちろんいいんです。
一生懸命聴かなくても。お気に入りの曲を見つけるところから。

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